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岐阜城完全ガイド:織田信長の天下布武はここから始まった!歴史・見どころ・アクセスからモデルコースまで徹底解説
岐阜県岐阜市の金華山山頂に、天下を見下ろすようにそびえ立つ岐阜城。戦国の風雲児・織田信長が「天下布武」を掲げ、天下統一への第一歩を踏み出した、まさに歴史の転換点となった場所です。
「難攻不落の山城」として知られ、斎藤道三と信長のドラマチックな物語の舞台となったこの城は、現在、多くの歴史ファンや観光客を惹きつけてやみません。しかし、その魅力は天守からの絶景だけではありません。麓に残る信長の豪華絢爛な居館跡、豊かな自然、そして周辺の文化的な見どころ…。
この記事では、岐阜城の深い歴史から、効率的なアクセス方法、絶対に見逃せない見どころ、さらには観光を120%楽しむためのモデルコースまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたの岐阜城訪問が何倍も充実したものになることをお約束します。
目次
波乱の歴史:稲葉山城から天下布武の拠点、そして復興へ
岐阜城の歴史は、まさに戦国時代そのもの。一人の男の下剋上から始まり、天下人の野望の象徴となり、そして戦乱の終焉と共に姿を消しました。その激動の物語を追ってみましょう。
城の創建と斎藤道三の登場
岐阜城の起源は古く、1201年(建仁元年)に二階堂行政が金華山に砦を築いたのが始まりとされます。当初は「稲葉山城」と呼ばれ、本格的な城郭として整備されたのは15世紀中頃、斎藤利永の時代でした。
この城の名を天下に轟かせたのが、「美濃の蝮(まむし)」と恐れられた斎藤道三です。油商人から一国の主へと成り上がった道三は、1539年(天文8年)から大規模な改修に着手。金華山の険しい地形を最大限に活かし、稲葉山城を誰もが攻めあぐねる「難攻不落の要塞」へと変貌させたのです。彼はまた、城下町の整備にも力を入れ、後の楽市楽座の原型となる政策で経済を発展させました。
豆知識:道三と信長、宿命のライバル
斎藤道三の娘・濃姫(帰蝶)は、織田信長に嫁ぎました。当初は政略結婚でしたが、道三は信長の非凡な才能を見抜き、「いずれ我が子らは信長の家臣になるだろう」と語ったと伝えられています。二人の英雄の関係が、この城の運命を大きく左右することになります。
織田信長の執念:稲葉山城の戦い
道三亡き後、稲葉山城は息子の斎藤義龍が城主となりますが、その頃、尾張を統一した織田信長が美濃攻略に乗り出します。しかし、難攻不落の稲葉山城は信長を何度も跳ね返しました。しかし、孫の龍興の代で、斎藤氏による美濃支配の終わりを迎えてしまいます。
転機が訪れたのは永禄10年(1567年)。信長は力攻めだけでなく、巧みな調略を用います。西美濃三人衆(稲葉一鉄・氏家卜全・安藤守就)を内応させることに成功し、内部から城を切り崩したのです。さらに、木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)が一夜にして墨俣に砦を築き、攻略の足掛かりを作ったという逸話もこの時のものです。ついに稲葉山城は陥落し、斎藤龍興は伊勢長島へ逃亡。信長は長年の宿願を果たしました。
「岐阜城」誕生と「天下布武」の宣言
美濃を手中に収めた信長は、城の名称を「稲葉山城」から「岐阜城」へと改めます。「岐阜」の名は、古代中国で周王朝が天下を興した「岐山」と、孔子の生まれた「曲阜」に由来すると言われ、信長の平和な世を築くという決意が込められていました。
そして、この岐阜城から「天下布武」の朱印を使い始めます。「武力をもって天下を統一する」というこのスローガンは、最近の研究では室町幕府の再興を目指していたのではないかと考えられていて、さらなる研究が必要ですが、信長の天下統一事業の始まりを告げる高らかな宣言でした。岐阜城は、信長の野望の象徴として、また政治・経済の中心地として栄華を極めるのです。
信長亡き後と関ヶ原の戦い、そして廃城へ
本能寺の変で信長が倒れた後、岐阜城は信長の三男・織田信孝が城主となります。その後、豊臣政権下では池田輝政らが城主を務めました。しかし、慶長5年(1600年)の関ヶ原の戦いで、城主・織田秀信(信長の孫)が西軍に付いたため、東軍の猛攻を受けます。激しい戦いの末に岐阜城は落城し、翌慶長6年(1601年)、徳川家康の命により廃城となりました。城の部材は加納城などに転用され、栄華を誇った名城は歴史の表舞台から姿を消したのです。
現在の天守は、昭和31年(1956年)に市民の熱意と寄付によって再建されたものです。
岐阜城へのアクセス完全ガイド:あなたに合った行き方は?
岐阜城は山城ですが、ロープウェーを使えば誰でも気軽に山頂まで行けます。もちろん、体力に自信のある方は登山も楽しめます。ここでは、各アクセス方法を詳しく解説します。
公共交通機関(JR・名鉄+バス)
最も一般的で便利な方法です。JR岐阜駅または名鉄岐阜駅から、長良橋方面行きの岐阜バスに乗車します。
- バス停:「岐阜公園歴史博物館前」で下車(所要時間:約15分)
- 運賃:大人230円
- ポイント:バスは日中10分間隔程度で頻繁に運行しているので、時間を気にせず利用できます。バス停を降りれば、目の前が岐阜公園です。
ぎふ金華山ロープウェー
岐阜公園内にある山麓駅から山頂駅まで、約4分間の絶景空中散歩が楽しめます。窓から広がる岐阜市街や長良川の景色は圧巻です。
- 料金:大人往復 1,300円 / 小人往復 650円
- 所要時間:山麓駅 → 山頂駅 約4分
- 注意点:山頂駅から天守閣までは、さらに徒歩約8分かかります。少し坂道や階段があるので、歩きやすい靴が必須です。
ロープウェー運行時間(目安)
- 通常期間 (5/16~10/16):9:00~18:00
- 夏期夜間 (特定日):9:00~22:30
- 冬期 (10/17~5/15):9:00~17:00
- ※季節やイベントにより変動します。訪問前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
自家用車
岐阜公園の周辺に市営駐車場があります。ただし、観光シーズンや土日祝日は大変混雑するため、公共交通機関の利用も検討しましょう。
- 主な駐車場:岐阜公園駐車場(堤外、堤内)
- 料金:1回310円(2024年時点)
- 混雑対策:午前中の早い時間に到着するか、少し離れたコインパーキングを利用するのがおすすめです。
【健脚向け】金華山ハイキング
「自分の足で信長と同じ道を登りたい!」という方にはハイキングがおすすめです。複数の登山道があり、体力や時間に合わせて選べます。
- めい想の小径(こみち):最もポピュラーなコース。比較的緩やかで歩きやすく、初心者向け。(所要時間:約60分)
- 七曲り登山道:舗装された部分が多く、こちらも登りやすいコースです。(所要時間:約60分)
- 馬の背登山道:岩場が多く、急な傾斜が続く上級者向けコース。スリルを味わいたい方に。(所要時間:約40分)
※登山をされる際は、しっかりとした装備(登山靴、飲み物など)を準備してください。
ここは見逃せない!岐阜城と金華山の見どころ徹底解剖
岐阜城天守:天下人が見た360度の絶景
現在の3層4階建ての天守は、昭和に再建された鉄筋コンクリート造です。内部は史料展示室となっており、1階では岐阜城の変遷、2階では城主たちの武具や資料、3階では信長時代の城と城下町の様子が紹介されています。
最上階からのパノラマビューは必見!
最上階の望楼からは、遮るもののない360度の大パノラマが広がります。眼下には清流・長良川が流れ、濃尾平野を一望。天気が良ければ、遠く名古屋のビル群や伊勢湾、木曽の御嶽山まで見渡せます。信長もこの景色を眺めながら天下統一の夢を描いたのかと、歴史のロマンに浸れる最高のスポットです。
織田信長居館跡:発掘が語る「地上の楽園」
岐阜公園内、ロープウェー乗り場のすぐ近くにあるのが織田信長居館跡です。ここは、信長が政治を執り、家族と暮らした場所。近年の発掘調査で、その驚くべき姿が明らかになってきました。
巨大な石を立て並べた通路、滝や池を配した壮大な庭園、そして屋根には金箔瓦が使われていたことが判明しています。当時訪れた宣教師ルイス・フロイスが「地上の楽園のよう」と書き残したほどの、豪華絢爛な館だったのです。信長の先進性、権力、そして美意識を肌で感じられる貴重な場所なので、ぜひ立ち寄ってください。
金華山の自然とぎふ金華山リス村
金華山(標高329m)自体が国の史跡であり、豊かな自然が残されています。ロープウェー山頂駅のすぐ近くには「ぎふ金華山リス村」があり、愛らしいタイワンリスたちと触れ合うことができます。餌やり体験もでき、特に子ども連れのファミリーに大人気のスポットです。
夜間ライトアップと夜景
日没後、岐阜城は毎日ライトアップされ、夜空に白く浮かび上がる幻想的な姿を見せます。長良川の対岸から見るライトアップされた岐阜城と街の夜景は「日本夜景遺産」にも認定されるほどの美しさ。夏期にはロープウェーの夜間営業も行われ、山頂から100万ドルの夜景を楽しむことができます。
岐阜城観光モデルコース提案
どう回れば効率的?という方のために、おすすめのモデルコースを2つご紹介します。
【約3時間】サクッと満喫!王道コース
- 岐阜公園に到着 → まずは麓の雰囲気を楽しむ。
- 織田信長居館跡を見学(約30分)→ これから登る城の主の暮らしに思いを馳せる。
- 金華山ロープウェーで山頂へ(約5分)→ 空中散歩を楽しむ。
- 岐阜城天守を見学(約60分)→ 歴史展示と山頂からの絶景を満喫。
- ロープウェーで下山 → お土産などをチェック。
【1日】歴史も自然もグルメも!欲張り満喫コース
- 午前:金華山ハイキング(約60-90分)→ 自分の足で登り達成感を味わう。
- 山頂到着後、岐阜城天守を見学(約60分)。
- ぎふ金華山リス村で癒される(約30分)。
- 山頂の展望レストランでランチ → 絶景を眺めながら食事。
- 午後:ロープウェーで下山。
- 織田信長居館跡・岐阜市歴史博物館を見学(約90分)。
- 川原町の古い町並みを散策 → カフェで休憩したり、お土産を探したり。
- 夕方~夜:長良川鵜飼を観覧 → 幻想的な伝統漁法に感動。
あわせて訪れたい!周辺のおすすめ観光スポット
岐阜城の周辺には魅力的なスポットがたくさん。せっかくなら足を延ばしてみましょう。
長良川鵜飼:1300年の伝統漁法
岐阜の夏の風物詩。毎年5月11日から10月15日まで、漆黒の闇の中、燃え盛る篝火(かがりび)に照らされて鵜匠が鵜を操る光景は、まさに幽玄の世界です。観覧船に乗って間近で見るのがおすすめ。
川原町の古い町並み
長良川沿いに残る、格子戸のある古い町家が連なる風情あるエリア。和紙を使ったうちわの店や、伝統的な和菓子店、おしゃれなカフェなどが軒を連ね、散策するだけで楽しめます。
岐阜大仏(正法寺)
岐阜公園から徒歩圏内にある、日本三大仏の一つに数えられる大仏様。高さ13.7mの乾漆仏で、その穏やかな表情に心が和みます。胎内に入ることもできます。
岐阜グルメ:鮎料理やご当地グルメ
「清流長良川の鮎」は世界農業遺産にも認定されています。特に天然鮎の塩焼きは絶品。また、朴葉の上に味噌とネギなどを乗せて焼く「朴葉味噌」や、鶏肉を使った「けいちゃん」など、岐阜ならではのグルメもぜひ味わってみてください。
岐阜城観光のよくある質問(FAQ)
Q. 観光の所要時間はどのくらい?
A. ロープウェーを利用して天守閣だけを見るなら、麓の岐阜公園到着から約1時間半~2時間が目安です。信長居館跡やリス村も楽しむなら、3~4時間ほど見ておくとよいでしょう。
Q. 服装や靴で気をつけることは?
A. 山城なので、スニーカーなど歩きやすい靴は必須です。ロープウェー山頂駅から天守まででも坂道や階段があります。ハイキングをする場合は、季節に合わせた登山用の服装を心がけてください。
Q. 御城印や御朱印はありますか?
A. 岐阜城の「御城印」は、麓の岐阜公園総合案内所や山頂の売店などで購入できます。また、岐阜城は神社仏閣ではないため「御朱印」はありませんが、周辺の神社(伊奈波神社など)でいただくことができます。
岐阜城は、ただ美しい景色が広がるだけの城ではありません。斎藤道三の下剋上、織田信長の天下統一への燃えるような野望、そして戦国を駆け抜けた武将たちのドラマが刻まれた、歴史の息吹を感じられる場所です。
山頂から濃尾平野を見渡し、信長が夢見た未来に思いを馳せる。麓では、かつての「地上の楽園」の痕跡に触れ、その革新性に驚く。そして、城を囲む豊かな自然と文化が、旅の思い出をさらに色鮮やかなものにしてくれます。
ぜひこのガイドを参考に、あなただけの岐阜城の旅を計画してみてください。きっと、心に残る素晴らしい体験が待っているはずです。
この記事の情報は2024年時点のものを基に再構成しています。営業時間や料金などは変更される場合がありますので、訪問前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
編集者:寺中憲史





