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戦国時代の農民の食事とは?庶民の主な食事・生活と武将の食事も紹介
海外の人達からも莫大な人気を持つ「和食」という日本の食事。
暖かい具だくさんのお味噌汁と炊き立てほかほかの白いご飯、身の厚いこんがり焼けた鮭やだしがきいてる優しい味わいのほうれん草の和え物が食べられるご飯が理想的ですよね。
そこに納豆や卵焼きがあったらもっと最高!なんて考えてしまいますが、昔の時代を生きていた日本人はどういった食事を取っていたのでしょうか。
この記事では「戦国時代」を生き抜いた農民たちの普段の食事をご紹介していきます。
戦国武将たちが編み出した持ち運びに便利な非常食なども合わせて解説していくので、是非最後までご覧ください。
戦国時代の農民の食事
戦国時代の農民は朝と昼の2回に分けて食事を取っており、昼も含めた現代の1日3食スタイルは江戸時代から普及したと言われています。
また、戦国時代であったことから農民と言えども足軽として戦に参加することもあり、農民の食事としてご紹介する内容も、位の高い武士や武将も食べていた献立だと考えられます。
基本的に一汁一菜で、味噌汁や野菜などの漬物とは別に主食を多く食べていました。
戦国時代の農民の食事①|主食
戦国時代の農民の食事の主食は「玄米」や「雑穀」であることが多く、主に玄米や麦飯、あわやひえを雑炊にしてかさましたりして食べていたと言われています。
自分たちで栽培して作った白米を直接食べれるのではないかと考えますが、当時のお米は殿や貴族などのお上に納める物なので、お米を栽培している農民といえども貴重な白米を食べることは難しかったと考えられています。
とはいえ、玄米や雑穀は白米よりミネラルなどの栄養素が豊富に含まれているため、副菜などで栄養が取れなかった分、玄米や雑穀の主食で栄養素を補っていたそうです。
戦国時代の農民の食事②|野菜などの副菜
戦国時代の農民はお米などの主食の他に、大根などの野菜を漬物にして食べていました。
また、山などに行った際に採った山菜や野草も汁物の具材にしたりして一緒に食べていたのではないかと推測されています。
また、戦国時代のお肉は現代以上に高級品という位置付けとなっており、この頃から宗教が普及してきたことも相まってお肉を食べることは基本的にタブーとされていました。
そのため、お肉を食べることはあまり無かったと考えられますが、実際は自分で狩った猪や鹿を食べていたのかもしれませんね。
戦国時代の農民の食事③|自家製のお味噌
「糠」(ぬか)を原材料とした自家製のお味噌を作って保存をして、主食や副菜の野菜と共に食べて、お味噌汁に使っていたと言われています。
味噌は塩分が多く入っているため保存が効く食材ですが、カビたり腐ったりすることを防ぐために味噌を焼いて「味噌玉」にしていたそうです。
味噌玉にすることで気軽に味噌を携帯することが可能になり、味噌玉をお湯に溶かすことで簡単に味噌汁が作れたりしました。
また、仕事の合間でも外で味噌玉をかじったりすることで塩分補給が出来たりと、当時はかなり万能食材だったんです。
食事の際に残った副菜と玄米などに、味噌汁をかけて頂く「ねこまんま」はこの時代から食べられていました。
糠が原料で作られた自家製味噌は、ビタミンやミネラルが豊富に含まれ栄養面でも農民達を助けた食材でした。
醤油の起源
大豆などの穀物に麹菌という糸状菌と一緒に食塩水に浸けて発酵熟成させる「醤」(ひしお)という調味料が醤油のルーツとして古くからありました。ただ、戦国時代に入ってから保存性が高くかつ作成しやすい味噌を主に調味料として使っていたため、醤の製造が徐々に衰退していくことになりました。
室町時代の末期頃から、醤油という言葉が室町時代の末期に書かれた文献にも記載されるようになり、この頃から醤を元に醤油の製造が始まったとされています。
醤は味噌と一緒で大豆から作られることが多く、この醤をザルなどでこしたものがたまり醤油の原型になるため、日本は古くから大豆に支えられてきました。
戦国時代の農民の生活
戦国時代の農民たちが戦国時代をどうやって生き抜いて、どういったルーティンを送っていたのかを合わせてご紹介します。
現代では到底考えられないような労働環境や生活を少し覗いてみましょう。
戦国時代の農民の生活①|労働時間
当時の戦国時代では飢餓に苦しんだ農民が多く、他の農民などから食料を奪うために夜襲を仕掛けることも多かったようで、夜中の3時頃から夜襲を警戒して起床していたと言います。
そして、朝の6時から本格的に農作業が始まり、長い1日がスタートします。
今のように便利な機械があるわけではなかったため、全て手作業で農作業をこなしていました。
朝の6時~18時頃まで12時間も農作業をしていることに加えて、戦が身近にあったのわけですから当時の農民達は筋肉がしっかり付いていたのかもしれません。
しかし、飢餓に苦しんでいたという事実もあることから、お腹いっぱいに食べていつでも健康体!というわけにはいかなかったのでしょう。
戦国時代の農民の生活②|戦にも参戦
戦国時代の農民は農作業だけでなく、お上から招集があった場合は足軽として戦にも参戦していました。
当時は合戦が始まると大きなイベントが始まったとして、オリンピックに行く軽い気持ちで合戦を鑑賞する農民もいたくらい、戦いというものが身近にありました。
そのため、農民が兵士として招集されそのまま活躍して出世する、なんてこともあったそうです。
基本的に質素な生活を送っていましたが、夜襲などに襲われた時や戦に逃れた落ち武者狩りを行うために、武具や刀などはしっかり用意されていたそうです。
当時の農民は本当に強く生きていたんですね。
戦国時代の農民の生活③|夜は出歩かない
当時は灯りという物が無く、夢中になって作業を行っていても夕方をすぎてしまうと目の前が真っ暗になって作業が出来なくなるため、18時頃まで仕事をして日が暮れたらすぐ睡眠を取っていたそうです。
また、今の時代より妖怪が信じられていたため、夜に出歩くことはほとんどありませんでしたが、一部の農民は夜這いをする…なんてこともあったそうですよ。
当時は今のように布団が無かったため、寝るときは藁を編み込んだむしろというものを下に敷くか、あるいは普通に床に横たわって寝ることが多かったそうです。
掛け布団には自分の服を脱いで身体にかけていたため、基本的には全裸で寝ていたそうです。
戦国時代の戦国武将や武士の食事
戦国時代では、戦いの最中でも口に運んで食事が取れる手軽さと、栄養がしっかりとれて保存性が高い「陣中食」という工夫された食べ物が生み出されてきました。
上述のように戦国時代の農民は武将たちと戦に参戦することもあったため、武将や武士が食べる様な保存の効く食事も食べていたと推測されます。
ここから、戦いに持ち運んで食べることが多かった陣中食や、現代にも伝わる便利な非常食をご紹介していきます。
戦国武将や武士の食事①|兵糧丸(ひょうろうがん)
そば粉や魚粉(鰹節などの、魚が原材料の粉)などの粉類や、豆やお米などと一緒に丸めて乾燥させる兵糧丸(ひょうろうがん)というお団子の様な非常食がありました。
好みの食材を砕き、練って丸めて持ち運ぶことが出来るため、武将によっては独自の兵糧丸を開発して、作成した兵糧丸を腰からぶら下げたり腰に巻いたりして戦場に持っていったそうです。
小さなお団子なので戦場でもぽんと口に入れて食べられる上に、色んな食材を入れることで身体を動かす時に必要な栄養素を戦場でも取ることが出来る非常に優秀な陣中食でした。
戦国武将や武士の食事②|芋茎縄(いもがらなわ)
戦国時代にはずいきと呼ばれる芋の茎を味噌で煮締めた芋茎縄(いもがらなわ)というロープの様な食材があります。
この芋茎縄を腰に巻いて持ち運んで、戦場で縄やロープ・紐として活用したり、必要になった時に味噌汁や鍋の具材としてちぎって入れることもあったそうです。
芋茎縄を腰からとってかじることで塩分補給も出来たことから、非常に理にかなった食材であったと言えます。
戦国武将や武士の食事③|握り飯や乾飯
握り飯などの主食は持ち歩くことが多かったですが、乾飯(ほしいい)という主食も戦場では重宝されました。
乾飯は炊いたお米を乾燥させて作る物で、主食を保存性高く持ち運ぶことができ、食べる時に水に戻したり食べたり、炒めて食べたそうです。
現代でいう「アルファ化米」で、災害などの非常時に役立つ非常食として水や熱湯を乾いたお米が入った袋に入れるだけで柔らかいお米が食べられる便利な物です。
また、乾飯は持ち運びに便利ですが、玄米や麦などの炊き立てご飯のような主食を武将によっては1日に5合も食べていたことがあったそうです。特に合戦前などに士気を高める目的で、多くのご飯やお酒などを一緒に戦うことになる武士達にふるまっていたそうです。
この食事を目当てに戦に参加していた農民もいたそうで、それだけ飢餓に苦しんでいた農民が多かったということなのかもしれません。
戦国時代の農民の食事とは?食事と生活・武将の食事も紹介|まとめ
戦や合戦が頻繁に行われていた戦国時代では、持ち運びが容易で保存性が高く、簡単に料理が出来る工夫された物が多く生み出されてきました。
この時代に作られた食料は現代にも通ずるものがあり、昔の人たちの生きるための知恵が今の私達のご飯をより便利に、そして美味しく食べられているのだと感じます。
戦国時代を生き抜いた先人達の生活や食事を垣間見ることによって、現代の恵まれた食事に対して、今までよりももっと大事に「いただきます」が言えるように心がけることが出来たらいいですね。
▼主な参考文献