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どうする家康・36話『於愛日記』ネタバレ解説!於愛の生涯やドラマと歴史の違いも解説
大河ドラマ「どうする家康」36話『於愛日記』では、於愛の生涯を描いた回かと思ったら、茶々を演じるのがまさかの北川景子さんだったというサプライズがありましたね。
家康の幼馴染で初恋の相手でもあったお市の方を演じた北川さんでしたが、今度は淀君という家康の最後の敵として再登場を果たしました。
於愛の最期もとても美しく描かれており、見ごたえのある回でした。
今回は、その「どうする家康」36話『於愛日記』で描かれたシーンを史実と比較しながらネタバレ解説していきます。
於愛の生涯についても触れていきますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
於愛の生涯
「どうする家康」では広瀬アリスさんが演じていた、西郷局とも呼ばれている於愛の方。
江戸幕府2代将軍・徳川秀忠の母である於愛ですが、36話でその生涯を閉じることとなりました。
まずは於愛の生涯について振り返ってみたいと思います。
戦争未亡人であった於愛
於愛は今川家臣であった戸塚忠清の娘として生まれたと言われています。
今川家に仕えていた戸塚家でしたが、於愛の父と兄が立て続けに亡くなったことで、戸塚家は断絶してしまいます。
そこで於愛は母方の祖父である西郷正勝の家に身を寄せ、正勝の孫にあたる西郷義勝と結婚しました。
そのため於愛は西郷局とも呼ばれていますよね。
しかし、祖父の正勝も夫の義勝も立て続けに戦死してしまいます。
「どうする家康」の中では夫の死を受けて、於愛自身も自害しようとしていた場面が描かれていました。
戦国乱世の中で立て続けに大切な人を失った於愛の悲しみが感じ取れるシーンでしたね。
徳川家康の妻となる於愛
史料によると、於愛は築山殿が亡くなる直前の天正6年(1578)に徳川家康の妻になったと言われています。
夫を亡くした於愛は藤正尚という人物のもとに身を寄せていましたが、そこに訪れた徳川家康と出会い見初められたとされています。
「どうする家康」の中では天正4年に婚姻したことになっていましたが、もしかすると於愛が築山殿に正式に認められた別妻であることを描くために、時代の調整が行われたのかもしれません。
そして於愛は天正7年に秀忠、天正8年に忠吉という2人の男児を生みました。
於愛は弱視だった?
於愛は弱視だったと言われており、同じく目の見えない瞽女(ごぜ)と呼ばれる女性たちの衣服や食料を支援していたことが、徳川家菩薩寺とされる宝台院(静岡県静岡市)に伝わっています。
実際に於愛は福祉事業を数多く行っていたため、人々から慕われていました。
しかし於愛は天正17年(1589年)に享年38歳という若さで病没したと言われています。
於愛が亡くなった時には、於愛から支援を受けていた東海中の人々が駿府城に集まり、その死を悔やんだとされています。
ドラマの中で於愛が日頃記録として残していた『於愛日記』には、初めは家康のことを心から慕っている相手ではないと書かれていましたが、側にいるうちに徐々に家康のことを慕うようになっていった於愛の心情の変化が描かれていてとてもよかったですね。
於愛の方についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
『於愛の方(西郷局)』多くの家族を失った戦争未亡人!
鳥居元忠と千代
さて、「どうする家康」36話では武田家の歩き巫女だった千代が再登場しました。
鳥居元忠と千代の関係には驚かれた方も多かったのではないでしょうか。
36話では千代の正体についても描かれていたので、ここからはそのネタバレ解説をしていきます。
千代の正体
千代は「どうする家康」の中で創作された架空の人物ですが、36話でドラマの中の千代の正体が明らかになりました。
千代は、武田家の重臣で不死身の猛将と言われた馬場信春の娘だったのです。
千代は馬場信春の娘として生まれ、真田一族と同族の望月氏に嫁ぎますが、夫が戦死して未亡人になったことで武田家の歩き巫女として諜報活動を始めたという設定になっていました。
武田家滅亡後に千代は行方不明となっていましたが、家康はずっと千代を探していたことが分かります。
そして、馬場信春の出身地である教来石(現在の山梨県北杜市)に逃亡していた千代を鳥居元忠が捕え、このことを家康には隠していたというストーリーでした。
鳥居元忠の妻
そして36話では千代が鳥居元忠の側室となっていました。
これは逸話とされていますが、史実に近いのではないかとも言われています。
ドラマの中で徳川家康が千代を探していたシーンが描かれていましたが、逸話としても馬場信春の娘が美女だと聞いた家康が娘を探していたところ、鳥居がその娘を自分の妻にして隠していたという話が残っています。
これは後世の創作というわけでもなく、高野山成慶院には鳥居元忠の側室が馬場の息女であるという記録が残っていると言います。
そうした記録をもとに36話のエピソードが作られたのかもしれません。
一方、ドラマでは本多忠勝が千代のことを真田家の忍びなのではないかと警戒して、「真田を信用できない!」と意地を張っているシーンがありました。
実際に当時は、敵国から逃げてきた民が実は忍びだったということが起きていたと言われており、忠勝の反応は自然なものだと考えられます。
本多忠勝は娘のことを心配しているからこそ、意地を張っている姿も描かれていて面白かったですね。
稲姫の輿入れ
本多忠勝の娘である稲姫は、真田昌幸の長男である真田信幸に輿入れします。
真田を信用できない父・忠勝に対して、「私が真田の内通者になります」と言っていた稲姫には父譲りの芯の強さがありましたね。
ここでは、稲姫が真田家に嫁いだ後についてネタバレ解説していきます。
真田家に嫁いだ経緯
稲姫が真田に嫁いだ時期は天正11年説、14年説、16年説、17年説と諸説あります。
「どうする家康」の中では、稲姫は於愛が亡くなった年に輿入れしたとされていました。
稲姫が真田に嫁いだ経緯については一次史料が残っておらず、詳しいことは分かっていませんが、徳川家康の方から真田を手懐けるために稲姫の輿入れを提案したという説もあります。
しかし、真田の嫡男の妻に徳川家の家臣の娘は釣り合わないと昌幸が断ったため、稲姫を家康の養女にして嫁がせたというものです。
「どうする家康」では真田昌幸の方から、家康が信用できないという理由で徳川家臣の娘を妻として人質に出すように要求していましたが、その説も十分に考えられますね。
この縁談は徳川家・真田家の双方にとって非常に重要なもので、そこにはいろいろな駆け引きがあったことが分かりますね。
稲姫の子ども
稲姫は真田に嫁いだ後、浜松殿・西之台殿・信政・信重と4人の子どもをもうけています。
ただし、真田信幸の嫡男である信吉は稲姫の子どもではないのではないかと言われています。
実際のところは分かりませんが、信幸には実は別の妻がいてその人との間に生まれたのが信吉とされています。
この信幸の別妻は真田昌幸の兄である真田信綱の娘ではないかと言われています。
本来は信綱が真田家を継ぐはずでしたが、長篠の戦いで戦死してしまったことによって急遽昌幸が継ぐことになりました。
つまり、信綱の娘を信幸の妻とすることで本来当主であった信綱の系図を残そうとしたのではないかという説です。
しかし後に徳川家康の天下となり、徳川家の娘である稲姫を側室という立場に置いておくのは良くないのではないかということで、このあたりをうやむやにしてしまったのではないかと考えられています。
物の怪・秀吉
稲姫の輿入れもあり真田との話もついたところでしたが、今度は豊臣秀吉の暴走が始まります。
「どうする家康」の中では、秀吉の正室である寧々が「周りの生気を吸い取る物の怪」だと秀吉を例えるシーンがありました。
実際に1590年には妹の旭姫、翌年には弟の秀長が病没しています。
まるで秀吉に生気を吸い取られたかのようにも見えますね。
ここからは秀吉の北条征伐と、秀吉の側室となった茶々について史料と比較してネタバレ解説していきます。
秀吉の北条征伐
1590年、秀吉は北条征伐に繰り出します。
「どうする家康」の中では家康がなんとか北条征伐を食い止めようとして、あの手この手を使って奔走していましたよね。
それにも関わらず秀吉は既に北条征伐を決行することを決めていて、実は北条征伐はあくまで規定路線だったのではないかという描かれ方がされていました。
しかし、これは北条氏政と氏直が上洛しなかったことが1番の問題点であって、歴史上では秀吉が最初から北条征伐をしたいがために真田の領地問題に首を突っ込んだわけではないのです。
歴史上での秀吉は最後まで上洛しない北条氏を許そうとしていましたが、北条氏政が秀吉の要求を無視したことで北条征伐が勃発したと考えられます。
北条氏政の生涯についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
『北条氏政』後北条氏の宿命を背負い強敵と戦い続けた眠れる獅子
茶々の登場
36話ではついにお市の方の長女である茶々が登場しました。
お市の方も演じていた北川景子さんが茶々を演じるというサプライズがありましたね。
「どうする家康」36話で登場した頃には、茶々は既に秀吉の妻となっています。
天正14年(1586年)に秀吉の側室として妻となり、天正17年には秀吉の最初の子どもである鶴松を出産しました。
秀吉と茶々の結婚に関しては、秀吉から茶々へプロポーズしたと言われています。
茶々は、自分の妹である初と江の面倒を見てもらうことを条件に秀吉との結婚を受け入れたとされています。
どうする家康・36話『於愛日記』ネタバレ解説!於愛の生涯やドラマと歴史の違いも解説|まとめ
「どうする家康」36話『於愛日記』のネタバレ解説でした。
於愛の生涯が描かれたり、北川景子さんが演じる茶々がサプライズ登場したりと盛りだくさんでしたね。
「どうする家康」の中で家康の初恋の相手でもあったお市の方とそっくりな茶々ですが、今後は最後の敵として家康の前に立ちはだかるのでしょう。
物語のクライマックスとなる大坂の陣で、家康は茶々に対してどのような気持ちで手を下すのか、とても楽しみですね。